Night at Hennessy Road
深夜のトラムは客がいなかった。
トラムの車窓から見るヘネシーロードも閑散としていて、安宿のネオンがより一層妖し気である。客は泊まっているのだろうか。
銅鑼灣から灣仔にかけてのヘネシーロード沿いの日中から夜の浅い時間帯の雰囲気が嫌いである。
特に面白味もないのに、人で溢れている。
微妙なローカル感と中途半端な都市感が混在して何とも言えない雰囲気なのである。
しかし、深夜の人が掃けた後の顔は別である。薄っすらと漂う退廃的な感じが、10年近く香港に住んでいる僕にも、未だに旅情を感じさせる。